親族や近所の人たちとのふれあいがなく、誰からも看取られずに死を迎える高齢者の無縁死がメディアでしばしば報道されています。この無縁死の増加は、何も生涯未婚率の上昇だけが要因となっているわけではありません。夫婦二人だけで暮らす世帯も増加しているため、長年連れ添ったパートナーが死を迎えると、残されたほうが数年後に無縁死になってしまうケースも多いのです。ではこのような高齢者の孤立を防ぐには、どのような方法が考えられるのでしょうか。
まず考えられるのは、かかりつけ医に相談して在宅医療チームを構成してもらうことです。かつては、持病は病院で治すもの、という風潮がありましたが、近年は在宅医療で行える治療内容がかなり充実しています。在宅医療チームを構成することで、医師と訪問看護師だけでなく薬剤師や介護士も加わり、持病を緩和するための手厚いケアが可能となるのです。さらにケアマネージャーが中心となって生活の質を確認するためのコミュニケーションを頻繁に取ってくれるため人とふれあう機会が増加し、孤立化する可能性は極めて低くなるといえます。
その他に考えられる方法としては、成年後見制度の利用が挙げられます。判断能力が低下している人に対して、行政書士などが物事の判断や各種の手続きを代行するのが成年後見制度です。代行してもらえるのは、医療や介護の分野だけではありません。毎月の住居費の支払いから不動産の売却に関することまで、さまざまな代行支援を受けることができるのです。頼れる家族がいなくても成年後見制度を利用すれば、日々の生活環境を気にかけてくれる人とのふれあいが生まれ、孤立を防ぐことにつながるでしょう。